STAFF BLOG
【2024 新製品解説】ルーパス・エリアトラウト コンセプト解説
●奥深いエリアトラウトの世界へ
2024年に発売を予定しているヤマガブランクスのニューロッド達の中でも異彩を放つ管理釣り場用の新シリーズ「ルーパス・エリアトラウト」。ネイティブトラウト用のルーパスシリーズはあったものの、大部分をソルトルアーロッドが占めるヤマガブランクスのラインナップを知る人からすれば、少し驚かれたかもしれません。
しかし、管理釣り場用のエリアトラウトロッドは、ぜひリリースしたかったロッドであり、企画と開発は水面下で進めていました。というのも、ソルトライトゲームシリーズ「ブルーカレント」のただ巻きでの操作性や感度を重視した一部モデルはエリアトラウトとの親和性が高く、実際にエリアトラウトでブルーカレントを使用している方も多かったからです。
そこで、企画当初はブルーカレントのフレッシュウォーターモデルというところからスタートしたのですが、エリアトラウトの世界は考えていた以上に奥深く、ちょっと調整してなんとかなるものでもありませんでした。詰めれば詰めるほど必要なラインナップは増え続け、「これはヤバイ世界に手をだしたか‥」と考えもしましたが、精通するテスターとのやり取りの中で「エリアの面白さと奥深さはヤバイな‥」とも感じながら、開発は進んでいきました。
そして、これはトラウトロッドの一つの形であり、エリアトラウト用のシリーズは既にあるネイティブトラウト用「ルーパス」の仲間に入れなければならない、となり、最終的にラインナップは5機種まで絞り込み、2024年の秋発売まで漕ぎ着けることができました。
そこで、今回は詳しい機種解説はカタログやウェブサイトに譲りつつ、このブログではヤマガブランクスの新しいロッドシリーズ「ルーパス・エリアトラウト」で求めたものについてお話しようと思います。
既にヤマガブランクスのロッドを愛用していただいている方で、エリア経験者も未経験な方も、このブログで興味を持っていただけたら嬉しいです。
(※ガチなエリアアングラーからすると、物足りない話も多くなりますが、そこはご容赦くださいませ)
●ただ巻きの妙味と、アクションの効果
まず、ルーパス・エリアトラウトは2つのカテゴリーから成ります。一つはただ巻きでのアピールをメインとするスプーン・クランクベイト用の「リトリーブタイプ」が3機種。もう一つはバイブレーションのリフトアンドフォールやミノーのトゥイッチングなどのアクション操作をメインとする「モーションタイプ」が2機種。
ルーパス・エリアトラウト全5機種
Lupus 61RM (TYPE:RETRIEVE / MULTIPURPOSE)
エリアトラウトの万能ロッド。スプーンからクランクまで一本でカバーする。
Lupus 511RF (TYPE:RETRIEVE / FINESSE)
超小型ルアー、マイクロスプーンやマイクロクランクベイトに対応する。
Lupus 66RS (TYPE:RETRIEVE / SHARPNESS
クランクベイトメインでリップ抵抗に影響されずにスパッとフッキングが決まる。
Lupus 62MB (TYPE:MOTION / BOTTOM BOUNCING)
メタルバイブのボトム攻略にベストマッチな一本。ロングリップルアーもOK。
Lupus 60MTR (TYPE:MOTION / TWITCH & RETRIEVE)
ブラウントラウトに代表される大型色物攻略に欠かせないミノーメインモデル。
各モデルのRMやMBという表記は、リトリーブタイプのマルチパーパス、モーションタイプのボトムバウンシングといった特性を表しています。
そして、リトリーブに代表されるただ巻きアピールは、エリアトラウト独自の世界であり、明確な流れが無いポンド(池)でトラウトを誘うためにルアーと共に進化したテクニックです。
これはエリアトラウトの代表的なルアーであるスプーンやクランクベイトの基本アピールであり、状況に合ったスピードを微調整しながら、ゆっくり巻いてくるだけなのですが、ちょっとした差で驚くほどに釣果に差が出るのが面白いところ。スピードを調整するだけでなく、デジ巻きなどの規則的な巻きピッチの変化などのテクニックもあり、まさに食わせの極地とでもいうべき世界です。(※ちなみに、デジ巻きとはデジタルの世界が0と1だけで作られていることからできたエリアトラウトの釣り用語であり、簡単に言えば繰り返すストップアンドゴーです。リール半回転で止め、半回転で止め、のような巻き方で、リールの回転角度は都度調整します。)
もちろん、スプーンならば巻きでレンジも変化するのでスピードとスプーンのウェイトでベストなレンジを調整し、ランクベイトならばリップなどの形状により潜航するレンジが変わるのでこちらはルアーチェンジで対応する。そうなると基本はシンプルな巻きの釣りといえども、必要なルアーはどんどん増えていく。
さらに、繊細な微調整を重ねても釣れない時、ボトムを小突きながら引いてきたり、リップで掘るようにボトムをズル引きしたり、ミノーの激しいトゥイッチやジャークでリアクションを誘ってみたりすると、嘘のように連続ヒットすることも多々あります。
ルーパス・エリアトラウトのモーションタイプは、そういった繊細さ以外のアピールで誘う場合に有効なロッドであり、どうしてもラインナップに入れたかったモデルです。特にボトムアピールに切り替えてバイトを決めることが出来た時の痛快さはひとしおであり、ゲーム的にも非常に面白さを感じる瞬間でもあります。
これはあくまで基本であり、クランクベイトに絞っていけばアワセで起こるリップの抵抗がフッキングを阻害するので、クランクベイト用のロッドにはシャープさも必要となってきたりと、繊細なだけでは駄目な点も数多く、ブランクメーカーとしても非常にやりがいのあるジャンルであるのは確かです。
そして、何故にこれほどまでにエリアトラウトは繊細で細分化するのか? という問いはシンプルに「釣れない」からです。言い方が悪いので詳しく言うと「しっかり魚の傾向に合わせて狙わないと釣れない」。これに尽きます。
基本的に魚はスレているので(放流直後は別ですが)、その中で如何にルアーに口を使わせるのか、という釣りになり、例え連続でヒットしてもすぐに傾向は変化してしまうことがほとんどで、魚は眼の前にいても釣り続けることには高いテクニックと経験値が必要になります。しかし、だからこそ管理釣り場といえどもエキサイティングであり、傾向を見つけた時の一尾の価値は大きいのです。
●楽しみ方は自由
ルーパス・エリアトラウトでは、そういったエリアトラウトの多彩なテクニックを駆使できるラインナップを揃えるように練り上げましたが、ヤマガブランクスの基本コンセプトである「よく飛び」「軽く」「強い」という性能もしっかりと持たせています。
これは競技としての釣りだけでなく、家族や仲間と気軽に楽しむエリアトラウトの世界も重視したからです。
エリアトラウトの世界では頻繁に大会が開催されており、その中では必要な性能以外を削ぎ落としたタックルが求められることもありますが、ルーパス・エリアトラウトは扱いやすく、ストレス無く遠投でき、小さなモーションで小気味よく投げることができるトータルバランスを重視した方向性で仕上げてあります。
もちろん、競技にも使っていただきたい性能は備えていますが、何よりも重視したのは食わせる「楽しさ」をとことん追求できる性能です。ルアーを使い分け、自分なりの戦略で眼の前のスレた魚を釣り上げる楽しさ。しっかりと管理され、整備されたフィールドでは、マナーの悪いアングラーに気を取られることなく、自分の釣りに没頭できる贅沢。その瞬間に思い通りの釣りを自由に楽しんでもらえる選択肢を、ルーパス・エリアトラウトには詰め込みました。
そして、ロッドを使い分ける楽しさも味わって欲しいという思いから、ブランク以外のパーツで調整し、高いコストパフォーマンスも求めています。
発売は2024年の9月頃を予定しているので、まだ先にはなりますが、年明けのフィッシングショーより製品は展示していきます。興味のある方はぜひ、触りに来てください!!
■2024年フィッシングショー出展予定一覧は⇒こちらから