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シーズン特集「春イカシーズン突入!! エギングロッド解説 vol.2 メビウス編」

3月も終盤ですが、春イカシーズンはまだまだ真っ最中というこで、シーズン特集の2回目はエギングロッド「メビウス」の解説です。

価格的には「カリスタ」はフラッグシップモデル、「メビウス」はエントリーモデルとなりますが、メーカーとしては単に価格では言い表せない強い思い入れが「メビウス」にはあります。

これまでヤマガブランクスのエギングロッドでコストパフォーマンスを求めたシリーズは「バトルウィップ」シリーズがありましたが、2015年に廃盤になっています。そして2016年頃よりステンフレームSiCガイド仕様でコストパフォーマンスを高めた次世代のエントリー用エギングロッドシリーズの開発がスタートしました。

それが2018年に発売された「メビウス」シリーズとなるのですが、今回はそのあたりの流れや、裏コンセプトなどもご紹介させていただきます。

 

ブランク設計の進化から生まれた「Mebius」

2018年の「メビウス」シリーズ(ステンフレームSiC-Sガイド)発売までは、レングス仕様的に近い「バリアス」シリーズ(チタンフレームSiCガイド)もラインナップに残っており、一見するとメビウスはバリアスのコストカット版に思われる方も多いとは思いますが、実際にはブランク設計的には全く別の系統になるシリーズです。

バリアスは初代・第2世代と代を重ねた時に、パンパンのビシバシ専用的な設計からキャストフィールを整えた設計に変わっていますが、メビウスはまた別の系統から生まれたシリーズです。

 

ここで少し他のロッドの話をします。ヤマガブランクスのシーバスロッドでバリスティックというシリーズがあります。このシリーズの初代にあった85/16という機種もパンパンでした。高速で振り抜き初速マックスで投げられるアングラーにはワンランク上の飛距離を出すことが可能でしたが、戻りが速すぎて慣れないアングラーには「抜け」が発生しやすい傾向がありました。ある意味、本来のヤマガブランクスらしさを体現したと言っても良いモデルでしたし、個人的にも非常に好きなロッドでしたが、次世代へモデルを重ねるごとに素材と設計が進化して「安定して初速を上げやすく」「広いリリースポイントを持つ」ブランクへと進化していった訳です。

 

この進化はエギングロッドでも同様で、少ない力でエギをシャープな初速で動かせればそれが最もいいわけで、「硬さ」にこだわらなくとも、適度な「張り」と「反発力」があれば投げやすく扱いやすいエギングロッドができるわけです。それを極限まで突き詰めたのが前回に解説した「カリスタ」シリーズです。軽く、ナノアロイ技術®が生み出す高速な反発力、より軽量で糸抜けの良いトルザイトガイドを使用しつつ、エギングロッドとしての耐久度も併せ持つシリーズとして完成し、ヤマガブランクスのエギングロッドの到達点と言えるシリーズになりました。(あくまで自社評価ですよ!! メーカーによって目指すべき到達点は違います)カリスタはエギングで必要なキャスト・シャクリ・感度・強さというファクターをより軽快にという視点で作られた新世代のエギングロッドであり、メインコンセプトは「より軽く」「より軽快に」を目指したシリーズです。

 

しかし、実際にはエギングにはもっと細分化するニーズがあるのも事実であり、新しい「メビウス」シリーズには、カリスタに無い特殊なモデルをラインナップに組み込み、厳選した機種数の中でバラエティーに富んだものを作り上げよう、というのが第一のコンセプトでした。

そして、ともすればそれは限定したシチュエーションに特化したクセのあるロッドになりがちなところを、先のバリスティックの進化やブルーカレントの多彩な機種開発で培った設計技術を活かして「扱いやすさ」を追求しつつも個性的なラインナップを作ることができたわけです。ある意味でメビウスはエギングのみ考えた設計からのスタートではなく、ショアキャスティングロッドの基本性能を追求するオールマイティーな設計から派生した設計だとも言えるのです。

 

例えば、昨年に第3世代として先行リリースされたブルーカレント76ストリームなどもTZ/NANOシリーズとは別系統の「扱いやすさ」「投げやすさ」を実現した設計であり、目指すところは近くても、設計のベースはTZ/NANOとは別系統になります。
つまり、大きな幹は共通しても、設計の進化から次々に派生した様々なカーボン素材に合わせた設計の系統が複数あるわけです。その視点で言えば、同ジャンルのシリーズでも系統が違うものは多数あります。

そして生まれた初期メビウスのブランクは非常に優れた性能を発揮し、ガイドをステンフレームSiC-Sガイドにすることでコストパフォーマンスを向上させつつも、性能は価格以上のシリーズになると確信することができました。

そうなると、シリーズのラインナップを厳選し、選ぶ楽しみがあるラインナップを組み立てることが重要になり、サブロッドとして2本めの選択肢もあるようにラインナップは煮詰まっていきました。機種数をそこまで増やすことは出来ませんでしたので、最終的にショートレングスのLクラス、これまでヤマガブランクスのエギングロッドには無かったMHクラスを盛り込むことが決定しました。

 

メビウスのコンセプトについて

メビウスシリーズの機種ごとの特性についてはホームページやカタログを見てもらうとして、ここではメビウスシリーズのコンセプトについて裏設定とも言うべき話をさせていただきます。

メビウスシリーズのスペックにはエギングロッドでありながら、エギの号数にグラム表記が入っております。単純にエギの重量と考えてもらっても良く、別段珍しいものでもないのですが、弊社の中ではエギングだけでなく、他の様々なルアーゲームにも活用してもらいたいという思いも込められています。

それと言うのも、前述した通りですがメビウス開発の流れの根幹にはTZ/NANOとは別系統で進化した設計と新素材がベースにあり、それ自体は非常に幅広いアーウェイトに対応できる「投げやすさ」「扱いやすさ」を持つものでした。

そこで、エギング用ロッドとしての基本を抑えつつ、時にルアーに切り替えてイカ以外の魚を狙うことも面白いロッドに仕上がっていることをアピールしたいという思いが、ルアーウェイトのグラム表記に込められているのです。

 

エギングを経験したことのある人ならば、エギングロッドの持つ万能性は誰しもが感じるところではありますが、扱いやすさに磨きをかけたメビウスのブランクはよりその万能性を強めた仕上がりだと考えています。参考までに私達の考えるメビウスの表設定と裏設定は下記のイメージです。

 

Mebius 710L (エギ1.8~3.5号  ~21g)

表・極細PEを使用したフィネスエギング対応。オフショアにも対応。

裏・メバルや各種チヌゲーム(トップ&ボトム)。

 

Mebius 88L (エギ2.5~3.5号  ~21g)

表・スラックジャークメイン&極細PE対応のライトクラス。

裏・バチパターンのシーバスやホタルイカパターンのシーバス&チヌなどのフィネスプラッギングゲーム。

 

Mebius 85ML (エギ2.5~3.5号  ~24g)

表・扱いやすさ重視のエギング基本モデル。

裏・各種シーバスゲーム。

 

Mebius 79M (エギ2.5~4号  ~28g)

表・レスポンス重視のショートレングスモデルでエギング基本モデル。

裏・ジグメインの小型回遊魚ゲーム。

 

Mebius 86M (エギ2.5~4号  ~30g)

表・強弱織り交ぜたエギアクションが可能なエギング基本モデル。

裏・小型回遊魚やロックフィッシュゲーム。シーバスもあり。

 

Mebius 83MH (エギ3~4.5号  ~35g)

表・春のデカイカ用&大型エギを使用するヘビーゲーム用。

裏・1ozを超えるリグを使用したハードロックゲーム。ライトショアジギングにもオススメ。

 

簡単ではありますが、こんな感じです。もちろん、表示グラム数はエギの中でも同じ3.5号でもシャロー用やディープ用などでウェイトが変わりますので、そのあたりも参考になるように入っているのですが、ルアーの場合はプラグのウェイトとして考えてもらい、比重の高いジグや各種シンカーを使用したリグの場合はもう少しウェイトがオーバーしても構いません。

このラインナップの中でも、特殊なのは710L・88L・83MHで、既にエギングロッドを所有している方でもサブロッドとして裏設定まで楽しんでいただくと嬉しいですね。
ちなみに海外ではMebius 83MHでパーチとか狙う人も多いようです。やはりエギングロッドの持つナチュラルな強さと繊細さは強い万能性を発揮するのでしょう。

Mebius 86M

Mebius 710L

Mebius 710L
Mebius 83MH

 

エギングロッドはシャクリの強弱の差が激しいジャンルであり、他ジャンルのロッドに比べて強く作らなければハードな使用に耐えられないのですが、メビウスも同様に作りは純然たるエギングロッドです。その中でベースにある設計の系統はキャストフィールを重視した高い使用ルアー範囲を持つものなので、当初より裏設定というものを考えておりました。そして、テストはエギングだけに留まらず、様々なルアーゲームでもおこなっているのです。

既にメビウスをお持ちの方も、ぜひ、エギング中に他魚種で遊んでみてください。また違うメビウスの性能を感じてもらえると思います。