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ルーパス(Lupus)フルリニューアル解説|全4機種の役割と進化【2026新製品解説】

2026年、ヤマガブランクスのネイティブトラウトシリーズ「Lupus(ルーパス)」がフルリニューアルを果たします。

初代ルーパス(前作)の発売から約10年。私たちは長年作り続けてきたこのシリーズに、もう一度本気で向き合いました。現代のネイティブトラウトゲームに求められる「キャスト精度」「ルアー操作性」。そのすべてを高い次元で成立させるために、ブランク設計を一から組み直しています。

本ブログ内では、新しいルーパスシリーズと各モデルの詳細を掘り下げてご紹介します。

 

ルーパスらしさの再定義

 

ネイティブトラウトの世界は、釣りの中でも“趣(おもむき)”が色濃いジャンルだと感じています。

それは、ただ魚をたくさん釣ることや、大きな魚を釣りあげることだけを目的にせず、釣りを取り巻く「情緒」「道具」「時間」、そして自然との距離感そのものを味わう――そのプロセスこそが、この釣りの大きな魅力だと考えるからです。

特に近年は効率や釣果(結果)を優先する釣りが人気を集める中で、ネイティブトラウトゲームでは自分の美学やこだわり(プロセス)を優先する場面が少なくありません。

たとえば、渓を歩く時間。流れを読む時間。キャストの一投一投。魚を掛けてからのやり取りの“余韻”。そのすべてが釣りの一部として積み重なっていくからこそ、ロッドには「釣れる」以上の存在価値が求められると私たちは考えています。

そして、初代Lupusが多くのアングラーに愛されてきた理由は、まさにそこにありました。

ヒットした瞬間からロッド全体が素直に曲がり込み、鱒の走りに寄り添って受け止めていく追従性。そのブランク特性が「掛けてからの楽しさ」をしっかりと味わわせてくれる。今なお大切に使い続けてくださっている方が少なくないのは、その体験がロッドに刻まれているからだと思います。

一方で、前作の発売から約10年。ネイティブトラウトを取り巻く環境やアプローチも確実に変化してきました。狙うべきスポットはよりシビアになり、流れの中でルアーを「どこに、どう入れて、どう見せるか」という精度が釣果に直結する場面も増えています。つまり、初代が持っていた「追従して楽しい」だけではなく、抵抗の強いルアーを操作するためのブランクの張りや、狙ったスポットへルアーを送り込むためのキャスト精度も同時に求められる――私たちはそう捉えました。

そこで今回のフルリニューアルでは、「ルーパスらしさ」を感覚的な言葉のままにせず、設計思想として定義し直しています。

核に据えたのは、初代が築いてきた「掛けてからの楽しさ」。そこに、現代のネイティブトラウトゲームに必要な張りと精度をどう組み合わせるか。その答えを形にしたのが、2026年の新しいルーパスシリーズです。

 

ラインナップに込めた役割

 

新しいルーパスは、源流域〜中流域までをカバーする4機種をラインナップしました。

51S/3pcs・51B/3pcs
ピンを撃ち抜くための精度と取り回しを重視したマルチピースショートモデル
61S
上流〜中流をつなぐ、バランス型のオールラウンダー
73S
大場所で“飛距離と精度”を両立し、良型にも余裕を持って対応するロングモデル

ここからは、モデルごとに掘り下げて紹介していきます。

 

各モデル解説

 

✅Lupus 51S/3pcs Lure: 2~7g Line: PE0.3~0.6

高い精度と携行性で、渓をテンポよく撃つ

源流域〜小渓流で大切になるのは、狙ったコースに入れる「キャスト精度」と、限られた条件の中でも“投げ切れる”取り回しです。

51S/3pcsは携行性を高めた3ピースでありながら、ショートロッドらしい振り抜けのキレと収束の良さを重視しました。狭いキャストスペースでも、ルアーを“置きたい場所”へ送り込みやすいよう、ブランク設計にも一段とこだわっています。

このモデルの大きな特徴は、単にピンスポットに入れるだけでなく、流れの中でルアーを通したいラインへ“乗せていける”点です。軽い入力でもロッドが仕事をしてルアーを動かしてくれるので、ヘビーシンキングミノーでもキレのあるトゥイッチングを小気味よくこなします。

また、本モデルはルーパスシリーズ初のマルチピース構造を採用。3ピースモデルとなっており、携行性にも優れています。

💡こんなアングラーにおすすめ

✓ 渓を歩きながら、点ではなく“線”で探る釣りが好き
✓ ピン撃ちの精度を上げたい(狙いを曖昧にしたくない)
✓ 携行性を高めて、道具をミニマムにしたい

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✅Lupus 51B/3pcs Lure: 2~7g Line: PE0.4~0.8

小渓流を攻め切る、マルチピースベイトモデル

同じショートモデルでも、51B/3pcsはアプローチの質が変わります。

低弾道で入れる、撃ち直しが速い、着水から操作までが速い――こうした“攻めのメリット”がベイトモデルにはあります。特に、狙うべきスポットが点在する小渓流で「キャストポイントが明確」な状況ほど、このモデルは輝きます。

キャストが続くと狙いも雑になりがちですが、ブランクの張りと振り抜けの軽さを両立させることで、一投一投のキャストそのものが楽しめるモデルに仕上げています。また本モデルも3pcsのため、リュックの中や外側に携行しての釣行にもおすすめです。

💡こんなアングラーにおすすめ

✓ ハイテンポに川を上りながら、キャスト回数が多い釣りをする
✓ ルアーの着水点やコースを“ズラしたくない”
✓ テンポよく探って、チャンスを増やしたい

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✅Lupus 61S Lure: 2~10g Line: PE0.4~0.8

上流〜中流をつなぐ、オールラウンダー

61Sは、シリーズの中でいわば“万能な1本”です。

源流ほど窮屈ではないけれど、まだ繊細さが求められる。流れの押しも出てきて、ルアーの見せ方が釣果を左右する。そういうエリアで必要になるのは、尖りすぎないバランスと、操作の幅です。振り続けても疲れにくく、曲がり込みの素直さを残しながら、狙ったコースへ入れるための張りも備える。一日を通して使える“安定感”を担うモデルとして設計しています。

💡こんなアングラーにおすすめ

✓ 上流〜中流までを1本で釣り歩きたい
✓ ミノーだけでなく、スプーンなど様々なルアーを駆使する
✓ 「オールラウンダーな1本」を探している

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✅Lupus 73S Lure: 3~14g Line: PE0.6~1.0

大場所・ダウンストリームを制する1本

ロングレングスモデルとして、大場所攻略はもちろん、ダウンストリームでの攻略も視野に入れました。設計の軸は、「流れの中でルアーを安定して通せる操作性」と、「魚に違和感を与えにくく、オートマチックなフッキングへ繋げるしなやかなティップ」です。

さらに、貴重な良型とのやり取りでも主導権を渡しにくいトルクも持たせています。魚を掛けてからも、初代Lupusが持っていた“楽しさ”を手放さないこと。その上で、安心感を一段上げること。そこを狙いました。

💡こんなアングラーにおすすめ

✓ 本流・湖・ダム湖など、飛距離が必要なフィールドが多い
✓ 流れの押しが強い中で、ルアーを安定して通したい
✓ サイズが出る場所で、ロッドに不安を残したくない

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継承と進化

 

新しいルーパスシリーズの前提はひとつです。初代ルーパスが築いてきた“掛けてからの楽しさ”は失わない。そこに現代の釣りに必要な「張り」と「精度」を積み上げ、「曲がって楽しい」まま「狙って掛けれる」ロッドへと再構築しました。

特にこだわったのがキャスト精度です。入力に対して素直に荷重が乗り、戻りが速く、ブレが早く収束すること。ブランク全体のバランスを見直し、「入力→曲がり→戻り」までの動きが、より素直に、より速く収束する方向へ整えました。これが、ピン撃ちや狙ったラインを通すための再現性を支えます。

ロッドの張りは、ルアーを“動かす”ためだけではなく、狙ったラインを“ズラさない”ための要素でもあります。渓流の一投は、流芯の押しや反転流のヨレなど、ルアーが勝手にズレていく力と常に戦っています。抵抗を受けてもロッドが必要以上に寝ず、通したいラインから外れにくい――この“ズレにくさ”が、結果として釣果にも繋がります。

そして新たな顔となるマルチピースショートモデルでは、スムーズな曲がりと収束の速さを両立させるため、ジョイント部を含めたバランスを何度も見直しました。携行性を高めながらも、ルーパスらしさを崩さないこと。そこにこだわっています。

ネイティブトラウトという“趣の釣り”だからこそ、道具の気持ちよさは大切にしたい。その一方で、釣果に繋がる精度からは目を逸らさず、両方を高い次元でまとめ直す。それが、新しいルーパスシリーズで私たちが取り組んだことです。

来シーズンからの釣行で、「もっとこのロッドと一緒に通いたい」と思っていただける瞬間があるはずです。ぜひ新しいLupusで、その感覚を確かめてみてください。

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