REPORT
【奄美大島】リーフゲーム EARLY for Rock 86MH
兵庫県にお住いのとっしー南西 様より前回三重県でのロックフィッシュゲームに引き続きまして、今回は奄美大島での釣行模様をレポート頂きましたので、ご紹介させていただきます。
【奄美大島】EARLY 86MHでリーフゲーム
■はじめに■
アーリー86MHを初めて使用した時から、ぼんやりと頭にあった。
このロッド、実は南西諸島でのリーフゲーム、特にインリーフとアウトリーフ(リーフエッジ)の両睨みの釣りにピッタリなのではと。
それを証明すべく今回、向かったのは奄美大島。
仕事の都合をつけて3泊4日の遠征である。
遠征直前にトップガイド破損、遠征期間中はずっと荒天予報、さらには遠征初日に不注意で左手首を負傷、と難が重なったが、
なんとか一日だけリーフに立つことができ、まずまずの釣りができた。
際立った釣果ではないものの、前述のトップガイド修理時に同社スタッフにお世話になったこともあり、御礼の意味でもレポートを書くこととした。
■南西諸島のリーフゲーム■
私は南西諸島に度々遠征するが、南方では中大型魚が小型のベイトを捕食することも多い。
これは偏食(いわゆるパターン)のケースもあるが、日常的に大きいベイトや小さいベイトを混食しているように思う。
(これは南西諸島の魚が“多魚種少量”であることと無縁ではないだろう)
よって10kgを超える大型回遊魚を狙うなどの場合を除き、ターゲットサイズに対して相対的に小型のルアー、具体的には6~20g程度のルアーをフック・リング強化して使うことが多い。
しかしこれにも前述の通り5kg程度の中型回遊魚も食ってくる。
よってロッドに求められる性能としては小型ルアーも扱えるが、太いラインも使用可能で、ある程度パワーがあるもの。
いわゆるパワーフィネス的な要素が求められる。
■アーリー86MHの評価およびリーフゲームへの適正■
“ロックフィッシュ用を謳うのは勿体ない”
これがロックフィッシュをはじめ、ショアジギング、プラッギング、ショアラバ、エギング、そして今回のリーフゲームで酷使している私の率直な評価だ。
これは「ロックフィッシュだけに使うのは勿体ない」、すなわち「メインはロックフィッシュだが他の釣りにも十分使える」というような消極的な意味ではなく、
ロックフィッシュロッドを謳うこと、ロックフィッシュロッドに区分することで、ユーザー(購買層)の間口を狭めているのではないか?との前向きな問題提起である。
とても洗練されたターゲットフリーのベーシックロッド(バーサタイルロッド)で、ロックフィッシュにも高次元に対応可能というのが自分の評だ。
具体的には、
・ティップはしなやか(バイトをはじかない、ナチュラルアクション)
・ベリーに張りをもたせることで操作性や反発力をもたせ
・バットはパワフル
という、きわめて素直なレギュラーテーパーのロッドである。
私が思うルアーロッドの理想の調子であり、経験を積んだ多くのルアーパーソンにご賛同いただけるのではないだろうか。
ベーシックでありながら洗練されたルアーロッドだと思う。
さて、ここでメーカーの商品説明から離れ、前提を変えてみる。
すなわちアーリー86MHをロックフィッシュロッドではなくバーサタイルロッドとして評価してみよう。
この場合、このアーリー86MHはバーサタイルにしてはガイドサイズが大きい、すなわち太ラインも扱えるよう配慮されている。
これが唯一、尖った特徴(ベーシックからやや外れた特徴)だと思う。
(これを0.6号~1.5号にあわせたセッティングに変えたなら、ミドルレングスの万能ロッドとして、さらに市場に受け入れられるだろう)
しかし南西諸島でリーフゲームに投入する場合は、これが好都合となる。
PE1.5号やPE2号にロングリーダーを組む南西諸島でのリーフの釣りでは、ガイドサイズは相対的に大きい方が有利なのだ。
ロングリーダーでもガイドストレスがなく快適で、飛距離も伸びるし、ノットの衝突劣化も軽微なためである。
まさしく南西諸島のリーフ、それもインリーフ(軽量リグで小型魚(~1kg))とアウトリーフで中型魚(~5kg))を同時に狙うにうってつけのロッドだと確信した。
前回(※)同様に前置きが長くなった。
それでは実釣レポートへ。
■奄美遠征レポート■
今回の舞台は奄美大島のリーフ。
ポイントは、外洋に面した岬のすぐ南側。
潮当たりがよく、小魚、カニ、シャコなど足元の潮だまりの生命層豊か。
エントリーは干潮2時間前からで、安全のため干潮過ぎには引き上げるため短時間勝負だ。
持たせてもらったオニギリを急いでお腹につめ、水分をたらふく補給してリーフに降り立つ。
入水すると、ひんやり冷たい。連日の荒天の影響だろう。
潮の下げにあわせて徐々に前に進み、リーフエッジ(アウトリーフ)を目指す。
ほどなくしてリーフエッジに到着。
ランガンのため、手返し重視でフローティングペンシル中心にキャストしていく。
干潮に向けて潮流が徐々に緩やかになってきた。
潮の変化のタイミング、チャンスだ。
さて、このアーリー86MH。
ティップが滑らかに入るのでポンプリトリーブやストップ&ゴーでもペンシルが潮をかんで、艶かしくアクションしてくれる。
これは特にダウンに投げてアップで回収する時に顕著である、ルアーが暴れて破綻することがない。
この動きをみて正直「これは釣れたな」とつい口元が緩んだ。
ジュボッ、バシュッと乾いた音とともにルアーが海中に引き込まれる。
幸先よくカスミアジ他を複数キャッチ。
またインリーフに差し込んだチャネルを10gジグヘッドのワインドで、アオノメハタやハンゴーミバイ他複数キャッチ。
(このようにアウトリーフのミドルの釣りと、インリーフのライトな釣り、このどちらも高次元に対応できるロッドは少ない)
すれ違う地元のルアーマン数人と情報交換。
口々に、今日は軟調(釣れていない)という。
今朝までの連日の荒天で明らかに水温低下している影響と思われる。
彼らはショアジギングロッドに13~16cm程度のルアー(30~60g)で中型狙い(5kg)。
自分も中型狙い(1~3kgメインで最大5kg)なのは同じだが、これを9~12cm程度(10~20g)の小中型ルアーで狙う。
これら10~20gのルアーを快適に扱うことができ、かつアウトリーフでの中型魚まで視野に入る汎用ロッドは、なかなか市場にない。
(海外遠征用のロッドでそのようなロッドはあるが極めて高額だ)
だから普通は「上」にあわせてショアジギロッドを持ち出すことになるが、これだと軽量ルアーや繊細な釣りができず、当然バイトも激減する。
今回、周囲が不調だった中で、自分がまずまずの釣りができたのは、これはお世辞ではなく、このロッドのお陰である。
そしてドラマは最後にやってきた。
干潮から上げに入り、安全のためにそろそろ引き上げようとしたタイミング。
水面を流していたソルティーレットペッパーに、ボシュっと控えめなバイトがあった刹那、一気にロッドがぶちまがった。
リーフではドラグをだすと、メインラインがサンゴにすれて簡単にブレイクするため、かなりドラグを締めて臨むのだが、それでもスプールからギギギギギーっとラインが吐き出されるほどの強烈な引き。
「(デカイ。このロッドであげれるか?)」
初日の左手首負傷によりリールをパワフルに巻けないながら、バットで耐えていると攻防の末に徐々に浮いてきた。
足元でキラリと光る銀色の魚体、良型のカスミアジ。5kg弱程度だろうか。
本来であればバレ防止のために寄せた後にドラグを緩めるのだが、左手首をかばいながらのファイトのため、うまく魚をコントロールできない。
最後の抵抗で、右後方に深く差し込んだチャネルにつっこまれそうになったため、無理やりリフトしたところで最終的にはフックが伸びてしまった。
「(このロッドで十分、戦える)」
心地よい敗北感に包まれた。
ほろ苦い思いを胸に残しつつも、天候および左手首がもったことに感謝し、充足感あふれる遠征となった。
少しは課題を残しておくことで、次の遠征が更に楽しみとなるのだ。
「ええロッド見つけた。」
以上。
(追記)
先日のレポート(ハタ両雄のランカー@尾鷲(※))で
>・操作感が軽い(ガイド抜けの良さもあって、かなり大き目のガイドがついているにも関わらず操作感は軽く、また感度良好。なぜ??)
と書いたが、これはあわせているリールとの重量バランスの妙であった。
ロッド重量が、そもそも123gと軽量であるが、比較的大きめのガイドを使用している(すなわち小径ガイドよりは先重り傾向の)ため、ある程度の重量のリールの方が相性がよいと感じた。
具体的には、私はシマノのSW4000番(310g程度)をあわせているが、これだと重心が手元にかなり寄るため、縦さばきの釣りが非常に軽快になる。
【ANGLER】
とっしー南西(@FISHING_TOSHI)
【TACKLE DATE】
ROD:EARLY86MH(ERY-86MH)
REEL:SW4000HG(SHIMANO)
LINE:PE1.5号(YGK)
LEADER:ナイロン25LB(メイン)+フロロ30lb(バイト)
LURE:
・ソルティーレッドペッパー(ティムコ)
・スワールテールシャッド(インクスレーベル)
・ナッゾジグ(インクスレーベル)
・ゴッツンバイブ(インクスレーベル)
とっしー南西様、前回の記事に引き続きまして詳しい釣行レポートを頂き、誠にありがとうございます。
今回は、天候も含め厳しい状況と限られたお時間だったようですが、その中でも愛用されておりますEARLY86MHのポテンシャルを存分に発揮して頂き、素晴らしい価値ある釣果を出
水温低下等の厳しい状況では比較的小型のルアーをしっかりと操作できつつ、良型が掛かった際にはしっかりとリフトできるパワーもあるEARLY86MHが良い仕事をしてくれたように思います。
次回は残念ながらフックが伸びてしまった大物との再戦を期待しつつ、またの釣果ご報告を心よりお待ちしております。
この度は誠にありがとうございました。